Slackware:スローで着実に走り続ける古参ディストリビューション

Slackwareは歴史あるLinuxディストリビューションのひとつだ。

安定性と信頼性を追求したコンセプトで、パッケージは相互依存関係が少なくシンプルな構成で、グラフィカル設定ツールはほとんどない。

コアシステムに対する深い理解が求められる一方、カスタマイズの自由度も高く上級者向けのディストリビューションだ。

目次

Slackwareの歴史

Slackwareは、最も古くから続くLinuxディストリビューションである。現在も積極的に開発されており、その歴史は20年以上にわたる。

1993年にPatrick Volkerding氏によって創設されたSlackwareは、UNIXライクなLinuxディストリビューションを提供することを目標としている。

Slackwareは、最初期のLinuxディストリビューションの1つであるSoftlanding Linux System(SLS)から派生した。SLSは、Linuxカーネルと基本的なユーティリティに加えて、TCP/IPとXウィンドウシステムを提供した最初のディストリビューションだった。

しかし、SLSはバグが多く、ユーザーからの不満が高まったため、Volkerding氏は、1993年7月にSLSに似たディストリビューションをリリース。当時、このディストリビューションはミネソタ州立大学ムーアヘッド校の匿名FTPサーバーでホストされており、24枚の3.5インチフロッピーディスクで提供されていた。

1994年10月にバージョン2.1がリリースされると、ディスク枚数は73枚に増え、バージョン3はCD-ROMでリリースされた。

Slackwareは、シンプルで安定したディストリビューションとして、UNIXライクな環境を求めるコアなユーザーに人気がある。

コントロールしやすい

Slackwareは、アップストリームパッケージをほとんど変更しないことで知られている。これは、他のディストリビューションとは対照的な特徴であり、Slackwareの大きな強みだ。

アップストリームパッケージとは、ソフトウェア開発者の元のWebサイトから直接ダウンロードできるパッケージのこと。Slackwareは、これらのアップストリームパッケージをできるだけそのまま使用することを重視する。

これにより、Slackwareは、他のディストリビューションよりも最新のソフトウェアを入手することができる。また、ソフトウェアの動作に変更が加えられることが少なく、安定性に優れる。

さらにSlackwareは、ユーザーの判断を妨げない。特定のユーザー層や、幅広いユーザーに向けた他のディストリビューションとは異なり、Slackwareは特定の使い方を想定しない。

そのため、ユーザーは、Slackwareでは他のほとんどのディストリビューションよりもはるかに自由にシステムをコントロールできる。

Slackwareのシンプルさは初心者には辛い

Slackwareは、Linuxディストリビューションの草分け的存在であり、シンプルで安定したOSだが、そのシンプルさが初心者には難度が高い。

Slackwareのインストールは、他のディストリビューションと比べて手順が多く、コマンドラインでの操作が求められる。また、設定や管理も、プレーンテキストファイルやシェルスクリプトを用いて行うため、初心者には難易度が高い。

さらに、Slackwareは、高度なグラフィカルパッケージ管理ツールを提供しない。コマンドラインツールのpkgtool、installpkg、upgradepkg、removepkg などを使用してパッケージの管理を行うことになるが、これらのツールは依存関係を解決してくれない。

そのため、Slackwareでパッケージをインストールする際には、依存関係の問題を自力で解決する必要がある。これは、初心者にとっては大きな障壁となるだろう。

Slackwareの派生物

驚くかもしれないが、Slackware は多くのディストリビューションのベースとして人気がある。派生物には、包括的なデスクトッププロジェクト、ライブディストリビューション、セキュリティディストリビューションなどがある。

Slackware は、多くのディストリビューションのベースとして使用されている。その中には、以下のようなものがある。

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Slackware は、1993年にリリースされた、Linux ディストリビューションの草分け的存在である。当初は 32 ビット版のみであったが、Slackware 13以降は64ビット版も正式に提供されるようになった。また、2002 年にはARMアーキテクチャ向けの移植であるSlackware ARMもリリースされた。

ユーザーの自由度

Slackwareは、開発者向けの一般的なツールの一部が欠けている。例えば、公式のバグ追跡システムは存在せず、Slackwareに貢献するための公式な仕組みもない。

これは、Slackwareの開発者の哲学によるものだ。Slackwareは、ユーザーの判断を妨げず、特定の使い方を想定しないディストリビューションを目指しているため、開発者向けのツールでユーザーの自由度を制限しないようにしている。

ディストリビューションに含めるものを最終決定するのは、Slackwareの「優しい終身の独裁者」であるPatrick Volkerding氏によって行われる。Volkerding氏は、Slackwareの創始者であり、現在も開発の中心人物として活躍している。

また、Slackwareは通常のディストリビューションとは異なり、固定されたリリーススケジュールに従わない。非常に安定したシステムをリリースすることが目的であるため、リリースは「出来たらリリース」という方針で、年に1回のリリースを目指している。

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