自作PCの中心となるマザーボードの選び方、仕組みと構成

自作パソコンの構成部品を選びにおいて、マザーボードの選定は、性能面だけでなく、互換性を確保の点から最も慎重ならざるを得ないパーツだ。

一度組み上げたPC内でマザーボードだけを入れ替えることは難易度が高く、他のパーツ選びにも大きな影響を与える。

CPUやメモリ、ストレージ、グラフィックボード等の適合性を左右する上に、拡張スロットの有無やレイアウト、外部インターフェイスの種類と数など、パソコン全体の機能面でも重要な役割を担う最重要部品である。

性能や予算のバランスはもちろん、将来のアップグレードも考慮し、自分のニーズと使用目的に適うマザーボードを見極めていこう。

目次

対応するCPUを確認する

自作PCを組み立てる際、マザーボード選びの基本中の基本が、CPUの種類に対応したソケット規格を持つ製品であるかを確認することだ。

例 ASUS ROG STRIX Z390-F GAMING
CPU LGA 1151
→ インテル Intel CPU Core i7-8700 3.2GHz LGA1151

→ Intel CPU Core i5-8400 2.8GHz LGA1151 などが対応 マザーボードのソケットとCPUのソケットが合っているかを確認

ASUS LGA1150 H87-PRO → Intel CPU Pentium 3.00GHz LGA1150 などが対応 ※LGA1150は2013年頃の規格でかなり古く、中古のマザーボードが定価より高くなっていることも珍しくない。

AMD CPUであればAM4、AM5ソケットベースのRyzenシリーズが現行主流だ。

ただし、ソケットが合っていても古い世代のマザーの場合、BIOSのソフトウェアが対応していないなどの理由で、CPUに対応できない可能性もあり、自作の難度は高まる。

できる限り新しいチップセットを搭載する最新マザーを選ぶよう心がけたいところだ。マザーボードのメーカーのホームページで確認しておこう。

AMD CPUはソケット変更の少ない共通規格がメリット、Intelは代替性に富む反面選択への影響大

2022年にSocket AM5が登場したが、AMD製CPUはSocket AM4という共通ソケットがRyzen 1000/2000/3000シリーズまで使われており、マザーボードの互換性が高い利点がある。

一方、Intel CPUは世代交代ごとにLGA1151やLGA1200、2066といったソケット規格が変わるため、マザーボード選びの自由度は高い反面、互換性への影響も大きくなりがち。

Socket AM4ならRyzen 5 3600からRyzen 9 3950Xまで幅広い製品が同一マザーボードで使えるのに対し、IntelプラットフォームではGPUの代替・変更の影響がより大きくなる。

世代を超えた互換性重視、性能重視など、利用目的に応じたマザーボード選びのポイントが異なるため、AMDとIntelそれぞれのCPUソケットシステムの違いを考慮する必要がある。

マザーボードは大きさでATX、Micro-ATX、Mini-ITXと3種類、用途と相性の良いサイズを選ぼう

マザーボードには、ATX、Micro-ATX、Mini-ITXの3つのフォームファクタ(サイズ規格)が存在する。大きい順でATX > Micro-ATX > Mini-ITXとなり、用途と組み合わせるPCケースのサイズに合わせて選択する必要がある。

ATXマザーは拡張スロット数が最大なので、将来的な拡張性を重視するマシンに向き、高機能を求めるゲーミングPCやワークステーションに多用されている。コンパクトさが重要視される小型PCやHTPC(リビング向け)では、Mini-ITXやMicro-ATXマザーが小型PCケースに搭載できるので相性が良い。

ATXマザーボードのメリットは拡張性、デメリットは大きさと価格

ATXマザーの大きな魅力は、PCIe x16スロットを3つ以上備える高価格帯モデルが多く、高性能GPUを複数枚搭載できる余裕のある拡張性だ。冗長性のあるストレージ構成を組む場合にも、SATAポートが6~8以上あるATXサイズが向いている。

反面、その物理的な大きさは、使いやすさを低下させ、メンテナンスを邪魔する結果になりかねない。ATXマザーはMicroATXケースに搭載できず、大掛かりなPCケースが必要になる点もデメリットだ。余分な機能を求めるあまり、使い勝手とコスパが悪化するケースもあるので、用途に応じた規模のマザー選びが欠かせない。

MicroATXマザーのメリットは低価格と互換性の高さ、デメリットは拡張性

MicroATXマザーの利点はコンパクトなサイズ感である反面、PCIeスロットやメモリスロットを犠牲にしているものがほとんどなので、高性能なGPUをSLI(複数搭載)したり大量のメモリを実装したりという用途には向かない。

反面ミドルレンジCPUと単体のビデオカード程度で十分な性能が得られる作業用途向けとしては、採り得る選択肢の幅が最大限に広がるうえ、廉価版が豊富な利点がある。マザーサイズにこだわりたくない使用シーンでは、コスパ最優先でMicroATXを選択するのも手だ。

Mini-ITXマザーボードの利点は超小型サイズ、欠点は拡張性の制限の高さ

一番手のひらサイズに近い17cm×17cmという省スペースを実現したMini-ITXマザーだが、その分PCIeスロットが1つのみという大幅な拡張性の制限が課せられる。グラフィックス性能強化のためにGPUを追加搭載できず、PCIe NVMe SSDの増設も叶わない。

反面単体のSSD/HDDとCPU、メモリ、ケースを選べば、超小型PCとしての活用が期待できる。高い性能と拡張性を求めるのであれば、別のフォームファクタを選択するべきである。HTPCやメディア配信専用端末を目指すなら、これ以上ないサイズ感のメリットがあると言える。

小型PC向けマザーボードとしてMini-ITXより更にコンパクトなMini-STXがある

コンパクトなサイズを実現したMini-ITX(170×170mm)に次ぐ小型マザーフォームファクタとして、Mini-STX(147×140mm)が登場している。1つのPCIeスロットのみを搭載できるMini-ITXと異なり、Mini-STXには拡張スロットそのものが存在せず、ACアダプタ給電の薄型基板だけのシンプルな構成が特徴だ。

超小型PCやデジタルサイネージなど専用途向けに高性能なCPUを搭載できる反面、グラフィックスカードが使えないなど汎用性では劣る。PCケース選びにも注意が必要になる。

マザーボード選びではメモリ規格(DDR3・DDR4・DDR5)の確認も欠かせない

CPUの世代交代と同様に、メモリ(RAM)規格もDDR3からDDR4、DDR5と置き換わっている。Intel CPUの場合Skylake世代以降がDDR4に対応したので、マザーボード選びの際こちらも合致するかどうかをチェックする必要がある。

AMD RyzenプラットフォームがDDR4を利用する以上、現時点で新調するマザーは基本DDR4仕様を前提に選択していくのが無難である。メモリクロックが高いぶん単体性能も向上しており、今後の動向からしてもDDR4マザーを選ぶメリットは大きいと言える。

マザーボード最新世代ではDDR5メモリにも対応した製品登場

インテルの最新CPU Alder LakeではDDR5メモリに対応した600シリーズチップセットマザーが登場し、AMDのZen 4アーキテクチャを搭載したRyzen 7000でもDDR5対応が発売されている。

DDR5メモリは、DDR4との互換性がないため専用マザーボードが必要となるが、データ転送速度の大幅な向上が見込める次世代メモリ規格だ。

現時点ではDDR5メモリ自体の入手はコストがネックになるが、次のアップグレードを考えているのであれば、DDR5対応マザーを選択するメリットは大きい。

マザーボードの構成部品

マザーボードの主要構成部品としてCPU/メモリソケット、電源部、拡張スロット、ストレージインターフェイス等が挙げられる。

マザーボードの主要なハードウェア構成要素として、CPUとメモリを実装するソケット部、電源やインターフェイスを制御するチップセット、ストレージメディアと接続するSATA等のコネクタ、拡張スロットとしてビデオカードを接続するAGP、拡張用のカードやビデオカードを接続するPCI/PCIeが存在する。

これらの部品性能と配置は、マザーボードそのものの性能特性を規定する重要な要素となる。高性能かつ高拡張性を両立できるよう、レイアウト設計が成されているかを選定時に確認したいポイントだろう。

チップセットとCPUはマザーボード機能・性能の要となる半導体で、より新しい世代の製品を選ぶことが、高パフォーマンス、長期運用の実現に不可欠だ。

マザーボードの拡張性能はPCIeスロットのレーン数と帯域幅に左右される

マザーボード上の拡張スロットを用いて、性能拡張できる機能や入出力ポート数を増やすことが可能だ。その拡張性能は搭載するPCI Express端子の数と帯域幅に依存します。

PCIe 3.0/4.0のx16端子ならGPUとの相性が良く、高帯域データ転送に向いています。スロット数が多ければ多くの拡張機能を増設できるが、実装されるレーン数はマザーボードのフォームファクタや価格にも影響される。性能目的や将来のアップグレード頻度に応じて適切な拡張性を確保できるマザーを選びたいところだ。

マザーボード上のレガシーPCIスロットは、旧式ながら互換性維持目的で残存

以前主流であったPCIバス規格のスロットが、最新マザーボードでも少数搭載されているケースが多々ある。これは旧式ながら長らく市場に供給されてきた拡張ボードの互換性を重視しているためで、音声インターフェイス等の用途で根強い需要があるため存置されている。

後方互換の観点から残存する形になっているが、PCIeと比較するとデータ転送速度で劣るため、可能な限りPCIeスロットに移行することが望ましい。新規自作の際にはレガシーPCIスロットよりもPCIeを重視したマザー選定を心がけよう。

SATAインターフェイスと搭載ポート数は記憶装置接続と拡張性に影響するマザーボード要素

マザーボード上のSATAインターフェイスとその搭載ポート数は、内蔵ストレージデバイス(HDD、SSD、ODDなど)の接続や拡張性を決定する重要な要素だ。例えば、4つのSATAポートしかないマザーであれば、内蔵用記憶デバイスは最大で4つまでしか搭載できない。

RAID構成したい場合など、より大容量かつ安定なストレージ構成を目指すのであれば、多数のSATAポートをタテに備えたハイスペックマザーを選びたいところだ。オンボードLANやUSB等と並ぶ、総合的な拡張性能の指標といえる。

IDEインターフェイス搭載マザーはレガシー規格の域を出ず、新規構築には不向き

かつてPC内部ストレージを接続する際の主要インターフェイス規格だったIDEだが、ホットスワップ不可やデータ転送速度の遅さなどの弱点を克服したSATAにその座を明け渡した。新しくマザーボードを購入する機会において、あえてIDEインターフェイスを搭載した旧式マザーを選ぶケースはほとんど無い。

仮に昔のIDE機器の再利用を考えたとしても、SATA変換アダプタを使う方が断然現実的で、向こう数年の長期利用を考えた際、IDE非対応の最新鋭マザーを選ぶのが成功の近道と言える。

オンボード機能出力機能

マザーボードは映像出力だけでなく、サウンド機能など様々な機能が搭載されている。基本的には購入するば一通りの機能がついているので別売りのカードは必要ない。

安いものではサウンド機能など全体的な機能が劣るので、それぞれのカードを導入することになることもある。

最近ではUSB端子に加えて無線LAN、HDMI出力が標準装備されているものが増えている。

マザーボードのオンボード機能は、外部入出力インターフェースを中心に充実の度合いに差がある

マザーボード上には、外部出力入出力インターフェイスとして、USBや音声、ネットワーク、映像系が基本的に実装されている。搭載されるインターフェイスの種類とポート数によって拡張性に差が出る。

例えば、USB 3.2 Gen2を多数レイアウトできれば高速外部ストレージとの相性が良くなり、最新のWiFi規格や2.5Gbpsイーサネットをオンボードでサポートしていれば、有線/無線LANの双方が高速化できる。

性能・目的や利用場面に応じて、十分な入出力ポートとその性能が確保できているかマザー選びのポイントとして勘案したいところだ。

マザーボードのグラフィックス出力性能は、オンボードGPU搭載の有無と出力インターフェイスに依存

マザーボード自体によるグラフィックス性能は、オンボードGPU(内蔵GPU)の搭載の有無と出力インターフェースに依存する。

CPU側のiGPU(内蔵GPU)やAMD CPU(APU)を利用する場合は、専用の映像出力インターフェース(HDMI等)を使用する。

一方で、CPU側にグラフィックス機能が無い場合は、PCIeスロット経由で接続する専用グラフィックボードを利用する形となる。

映像出力性能は、マザーボードよりは、むしろグラフィックボードやCPUの選定が重要視されるポイントと言える。

サウンド入出力

マザーボードもしくはCPUに映像出力機能が搭載されされている場合、映像出力端子が搭載されている。HDMIやディスプレイポートなどの端子が最近では増えている。

オンボードサウンドはほとんどのマザーボードに付属している。音質的に劣ることが多いのでサウンドカードの増設が必要と感じる人もいる。

マザーボードのサウンド機能はオンボード搭載が基本だが、音質重視なら周辺カード増設も選択肢

マザーボード上のサウンド機能は、オンボードのコーデックチップとオーディオコントローラによって実現されていることが一般的。 最近のマザーはHDオーディオ規格に追随してはいるものの、専用サウンドカードほどの音質再現力には及ばないのが実情だ。

音楽や映像編集、ゲームなどで高い音質を求めるなら、オンボード機能では限界を感じるだろう。PCIe接続の高性能サウンドカードを増設すれば、より忠実な音響環境を構築できる。用途と好みに応じて選択肢を考慮したい部分と言える。

マザーボード上のUSBポート数と規格別実装状況が外部接続環境の拡張性を左右

USBは、外部記憶メディアや入出力デバイスとの接続に利用される汎用インターフェイスだ。

マザーボード上のUSBポートは前面/背面それぞれにレイアウトされており、搭載数と規格(2.0/3.2 Gen1/3.2 Gen2等)によって拡張インターフェース数が制約をうける。

USB 3.2 Gen2等の高速インターフェースが多く搭載されていれば外付けSSDとの高速接続が可能になるなどメリットが大きい一方で、不足してしまうと、PCIe接続のUSB拡張カードを増設する必要が出てくる。マザー選定時には搭載数と規格のにも注意が必要だ。

マザーボード付属品の充実度合いも性能指標の一つ、初心者には日本語マニュアルが望ましい

マザーボードに付属する部品は、SATAケーブル、I/Oシールド、SATA電源ジャンパ、WiFiアンテナなどがある。高級マザーほどこれら付属品の種類と数量が多い傾向にある。一方で、低価格帯だと最低限の同梱にとどまる場合もある。パソコン構築時の作業負担を軽減するポイントでもある。

また、日本語マニュアルが充実しているかどうかも、初心者が最初の組み立て作業をスムーズに進めるための判断材料になりえる。BIOS設定やUEFIの各種メニュー解説が手厚いほうが、パフォーマンス引き出しにも繋がる。

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